株式会社田代工務店のコラムページ

命を守る構造のポイント

【構成材】

→田代工務店は自然素材の観点から、室内空気に悪影響を与えないように、主に筋交い(4.5cm×9cm)で構成します。
→充填断熱の場合に構造用面材の透湿抵抗値が高いと壁内結露が発生する恐れがあります。
クリックして詳しく見る 木造住宅の場合、まず耐力壁を筋交いと構造用面材のどちらで構成するか?を検討します。モチロン、筋違いと構造用面材の併用もアリです。
田代工務店は自然素材の観点から、室内空気に悪影響を与えないように、主に筋交い(4.5cm×9cm)で構成します。

『面全体に力が分散される強い壁』 『地震や外力に強いモノコック構造』 『筋交いは力が集中するので壊れやすい』
などの表記を見かけると、筋交いはダメとの印象を受けまが、これは自社の強みだけを強調したセリフで正しくありません。
正しくは-構造的に考えると-どちらでも良いのです。

〇筋交い、構造用面材のメリット・デメリット
それぞれ下記のようなメリット・デメリットがあり、様々な検討が必要です。

筋交い・・・方向性があり、圧縮力に強く引っ張り力に弱い。
・・・正しく施工されているかどうか、簡単にチェックできる。
・・・接合金物が必要だが、トータルコストは安い。
・・・筋交いのスパンは90cm以上必要。
・・・充填断熱の場合、グラスウールなどの断熱材が入れにくくなる。

面材 ・・・釘が深く入りすぎると耐力が極端に落ちる。
・・・釘の端空き確保、めり込み過ぎない施工が大変。
・・・釘の端空き、めり込みのチェックが大変。
・・・スパンは60cm以上あれば有効に働く。
・・・外壁全面に施工するので耐力壁のバランスが悪くなりがち。
・・・充填断熱の場合、断熱材が入れやすい。
・・・面材の透湿抵抗値が高いと壁内結露が発生する恐れがある。
・・・構造用合板、OSB、ニチハあんしんパネル、ノボパンは壁内結露の恐れが高い。
・・・ハイベストウッド、タイガーEXボード、モイス、ダイライトは壁内結露の恐れは低い。
・・・タイガーEXボード、モイス、ダイライトは防耐火性があり、防火構造や準耐火構造に使える。
・・・価格は高い。

特に注意が必要なのは、充填断熱の場合に面材に構造用合板を使用すると壁内結露が発生する恐れがある点です。
田代工務店は外張り断熱を採用しているので、構造躯体への直接的な影響は小さいです。

【耐力壁量】

→壁量は多ければ多い程、建物は強くなります。
→耐力壁の限界を超えないように余裕を持たせる設計がポイントです。
→外張り断熱だと裏技が使え、開口部に筋交いを設けられます。

クリックして詳しく見る 壁量は多ければ多い程、建物は強くなりますし、1枚の耐力壁が負担する荷重が小さくなります。そして、開口部と場所の取り合いになるので、耐力壁配置のバランスを検討しなければなりません。

筋交いも構造用面材も限界を超える地震力を受けると壊れます。
筋交いは両端の接合部が壊れたり、面外に座屈する恐れもあります。構造用面材はせん断力で抵抗するので、最終的にはひび割れ破壊しますが、そこに至るまでに面材を固定する釘が抜けたり、ちぎれたり、釘周辺の面材が壊れます。
このように部材が壊れたり家が変形することで、地震力を吸収しています。

家が建ってからその生涯を終えるまでには何回かの地震に遭います。熊本地震のように震度6~7に2回遭ったケースもあります。

これらの事からどちらにも言えることは、耐力壁の限界を超えないように余裕を持たせる設計がポイントです。

☆彡 外張り断熱だと裏技が使え、開口部に筋交いを設けられます。また、筋交いを10.5cm角にして、化粧材として表わす事もできます。

【耐力壁・配置のバランス】

→偏心率は0.3以下と規定されています。0.15以下ならとても良いバランスと言えます。
クリックして詳しく見る 耐力壁を増やそうとすれば、どうしても開口が少ない北側に集中しがちです。目標とする等級に見合った耐力壁量を確保しながら、部分的に筋交いをダブルにしたり、筋交いと面材を併用したりして壁倍率を上げて配置します。
耐力壁配置のバランスは偏心率や四分割法で計算して確認します。

〇偏心率
建物の重さの中心を『重心』と呼びます。建物の耐力壁の配置による堅さの中心を『剛心』と呼びます。地震力は重心にかかります。
重心と剛心のずれを『偏心』と呼び、重心と剛心が離れていると偏心が大きく、建物はねじれるようにして壊れます。建築基準法では偏心率は0.3以下と規定されています。0.15以下ならとても良いバランスと言えます。

〇四分割法
四分割法は建物をX,Yそれぞれの方向に4分割し、両端域の壁充足率や壁率比を計算して確認します。(説明は省略)

【耐力壁線間距離&水平構面】

→耐力壁線の間隔が広く、床剛性が小さければ、地震時に中央部が大きく変形し、損傷を受けやすいです。
→耐力壁線間隔を小さくする事と、隣り合う耐力壁線の強度をそろえる事がポイントです。
→田代工務店は2階床は足場になるので、作業の安全性を考慮して剛床仕様としています。

クリックして詳しく見る 耐力壁線の間隔が広く、床剛性が小さければ、地震時に中央部が大きく変形し、損傷を受けやすいです。
また、隣り合う耐力壁線の強さに差があると、水平構面を通して地震力が伝わるので、それ以上の耐力をもつ水平構面が必要となります。

設計では、耐力壁線間隔を小さくする事と、隣り合う耐力壁線の強度をそろえる事がポイントになります。
2階床を24~28mm厚さの合板を使用した剛床仕様とすれば大きな耐力が得られます。
屋根面は剛床のように強くできないので、火打ち梁を入れるのはモチロン、一部に屋根裏物置を作って剛床仕様としたり、イロイロ知恵を絞っています。
田代工務店はなるべく合板を使用しない方向で設計していますが、2階床は上棟時に梁を組立てた後に敷設すると足場になります。作業の安全性も考慮して、2階床は剛床仕様としています。

【柱の引抜き(N値)】

→耐震性が大きい壁は変形が小さいので、両端の柱には引き抜き力が加わり、土台や梁から抜けようとします。
→1.5トン以上の引き抜き力を受ける柱はホールダウン金物で基礎に緊結します。
→地震で受けた水平力を屋根・床・壁・柱・土台・基礎から地面まで伝えて始めて頼りがいのある構造となります。
クリックして詳しく見る 地震が起こると建物には横からの力が加わります。

耐震性が小さい壁は斜めに変形して壊れます。
その壊れ方は1階が押し潰されたように倒壊します。

耐震性が大きい壁は変形が小さいので、両端の柱には引き抜き力が加わり、土台や梁から抜けようとします。
そうすると建物は転がるように倒壊してしまいます。

柱の引き抜きを防ぐために、柱1本ごとに引き抜き力を計算して、それを上回る金物で土台や梁と緊結します。

1.5トン以上の引き抜き力を受ける柱はホールダウン金物で基礎に緊結します。
地震で受けた水平力を屋根・床・梁から壁・筋交い・柱へ伝え、最終的には土台・基礎から地面まで伝えて始めて頼りがいのある構造となります。

下の基礎伏図のグリーンがホールダウンです。


設計図通りにチャンと施工されています。
土台の中心とずれているアンカーボルトが見えますが、これは筋交いと干渉しないようにわざとずらしています。
余談
まれな例ですが、阪神淡路大震災ではドーンと地面が鉛直に落ちる揺れ方をした地域があり、片持ちバルコニーの先端が上へ破壊されているマンションを見かけました。
以前はバルコニー先端が下らないようにベンド配筋していましたが、震災以降は下がりも上りもしないようにダブル配筋に変わりました。

【基礎の設計】

→田代工務店は基礎の強度、床下防湿、シロアリ被害、基礎断熱の観点から、べた基礎を採用しています。
→べた基礎は基礎梁と基礎梁で囲まれた耐圧版(スラブ)で構成し、スラブを連続した基礎梁で囲うのがポイントです。
クリックして詳しく見る 木造住宅の基礎形式は、布基礎とべた基礎(耐圧版基礎)が殆どです。他には石場建てなどの特殊な形式もあります。 布基礎は基礎梁の高さを大きくできるので、良好な地盤状況だと設計上は有利になる場合があります。その施工は、べた基礎よりもコンクリート量、鉄筋量は少なくてすみますが、手間と日数がかかります。

田代工務店は基礎の強度、床下防湿、シロアリ被害、基礎断熱の観点から、べた基礎を採用しています。

べた基礎は下の図のように水色の基礎梁と基礎梁で囲まれた耐圧版(スラブ)で構成します。スラブを連続した基礎梁で囲うのがポイントです。基礎梁を人通口や通風口で切る場合は地中梁を追加したりスラブ筋の補強が必要となります。
そして、囲われたスラブの大きさ、荷重、地耐力により、鉄筋の太さや数を計算で算出します。
図中の黄色の基礎はスラブ上の基礎です。途切れていても問題はなく、スラブを押える効果が有利側に働きます。

べた基礎に荷重が加われば左の図のように変形します。

これを見ると基礎梁が連続していなければ、やばそうだとイメージできると思います。

【基礎の施工例】

このお宅の地盤は良好だったので、地盤改良はなしです。

鋤取りと外周を掘下げて砕石地業で固め、防湿シート張り、捨てコンクリートまでやりました。

地鎮祭の時に預かった鎮め物です。

防湿シートの効果が分かりますね。

鉄筋を組立て、配筋検査を受けます。

梁のスターラップ(縦の鉄筋)上端のフックの有無は構造計算によります。

一般部の基礎梁主筋はD16ですが、開口直下の基礎梁の主筋にD13かD16を追加して補強しています。

基礎工事の完了です!

コンクリートの締固めも丁寧にやり、きれいな肌が現れました。

耐圧版と立上りの境は目地をとり、シーリングで防水します。

【免震構造・制震構造・耐震構造ってなに?】

住宅の地震対策に有効な構造には、免震・制震・耐震の3つがよく知られています。

クリックして詳しく見る【免震構造】は、建物と基礎の間に積層ゴム製などの免震装置を設置し、地面の揺れが直接上部の建物に伝わらないようにする構造です。価格は非常に高くなります。免震構造は重量が軽い木造住宅には不向きです。

【制震構造】は、耐力壁にオイルや粘性体、ゴムなどのダンパーを組込み、地震エネルギーを熱に変えて吸収して揺れを小さくする工法です。
制震工法は建築基準法に明確な規定がなく、使用に際しては自己責任となります。制震ダンパーで基準ギリギリの設計には注意が必要です。まずは耐震構造にして基準をクリアーした上で、制震ダンパーを付加する程度じゃないとダメなようです。 (制震構造は難しく、まだまだ勉強中です、あしからず。。。)

【耐震構造】は、通常の耐震設計を行った建物です。

UFO-Eは
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地震エネルギーを減らします
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300〜800galの加速度を減震します
大型地震対策に最適です!!


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<UFO-E>は小さな地震に対しては耐震構造で耐える事とし、大地震の300galを超える地震エネルギーを減らす目的で開発されました。免震構造と違い、摩擦抵抗でブレーキをかけながら滑るので数ミリの変位で効果が現れます。

<UFO-E>は2枚の金属製プレートが組み合わさった構造です。通常の基礎パッキンのように柱下部の土台下に設置します。工事は簡単で、工期は通常と変わらず、一坪あたり1万円程度と費用も少なくてすみます。

<UFO-E>は、地震エネルギーを小さくする“摩擦減震”により木造家屋の倒壊を防ぐ金物です。 100個前後の「W摩擦板」が荷重を分担しながら少しづつ動いて歪摩擦・静止摩擦のWブレーキが作動し、300gal以上の地震の加速度を減震します。

最初は平坦部の 「静止摩擦」が働きブレーキをかけます。地震の揺れが大きくなり下の△部分に上の▽部分が乗り上げると、集中荷重により大きな応力が発生して 「歪摩擦」が生じます。これがダブルブレーキとなって、減震効果が高まります。


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株式会社田代工務店 〒675-1205 兵庫県加古川市八幡町中西条260 / TEL 079-438-5652 / FAX 079-438-8071
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